改訂版・時間よ、止まれ。
新井が私を怒らせるようなことばっかり言うからじゃない!
私だって怒りたくて怒ってるわけじゃないし!!
…とか言おうと思ったんだけど。
班の他のメンバーは、今にも新井をまくし立てようとする私の勢いに驚いて、ポカンと口を開けながら新井に同調していた。
ち、ちょっとぉーーー!!
いくら新井がサッカーで目立つからって、みんな新井の肩を持つわけ!?
新井と比べて特に目立った行動をしてこなかった私に味方をしてくれる人なんているはずもなく。
私は新井の思惑通り(!?)、班長に就任することとなってしまった。
私は班長の最初の仕事として、担任の先生から『ハイキングのしおり』と題されたプリントを班員分もらい、それを各々に配布した。
「おお、サンキュー、井上班長♪」
「誰のせいでこんなことになったと思ってんのよ?」
最後に新井にそのプリントを手渡すと、新井はいたずらな悪魔の笑みを私に見せてきた。
…余計に腹が立つんですけど!!
「俺は適任者を推薦しただけだけど?決めたのは班員全員だし」
「こんな時だけ正論言って逃げんじゃないわよ」
「まー、やってみりゃいいじゃん。意外と合ってんじゃね?『井上班長』も♪」
…こんな時だけ爽やかな微笑みを見せんじゃないわよ。
そんな笑顔で落とせる女は、新井のことを何も知らない女子だけなんだから。
私は絶対、そんな笑顔になんか騙されない。
「頑張れよ、『井上班長』!!」
「う…、うるさい!」
そのわざとらしいエールが、更にムカつく!
ああ〜〜、何でこんなヤツと同じ班になっちゃったわけ!?
――
―――――