改訂版・時間よ、止まれ。
やっぱ一緒に帰るんじゃなかったかも。
市川くんのそのセリフ聞いただけで、ものすごいラブラブモードなのが伝わってくるもん。
「聞いて失敗したかも〜。ごちそうさま。…華恵、大事にしなよ」
「分かってるよ。急にミツルくんに変なこと聞かないでよね。何もないけどいざ聞かれると焦ったじゃん」
「だからちょっと試したんじゃん。いつもの仕返し」
「も〜〜っ。それよりもさおりは案じてることがあるでしょ?」
「ああ…、優祐のこと……」
「新井?新井がどうかした?」
私が優祐の名前を出すと、市川くんはそれまで爽やかな笑顔を少し崩して、心配そうな表情を私に向けてきた。
「今日、新井が補習に来てなかったらしいんだよ。ミツルくん、何か聞いてるかな〜と思って。ね、さおり?」
「あ、うん…」
「へぇー。井上さん来てるのに来てなかったのか。…おかしいなあ」
「えっ!?」
市川くんが少し驚いた顔をしてそんなことを言うから、今日来てない理由までは知らなくても、何か裏事情を知ってそうな気がした。
すると、市川くんはゆっくりと説明を始めた。
「いや、…おとといだったかな?俺、新井と話したんだよ。井上さんと勉強して、同じ高校に通いたいから、補習に通ってるって言ってた」
「そっかぁ。新井結構やるじゃん」
「茶化さないでよ、華恵」