改訂版・時間よ、止まれ。
私と華恵が背中を軽く叩き合ってると、市川くんは「まあまあ」と制止しながらまた話し始めた。
「まだ夏休み始まる前かな?俺が補習のことを新井に話したら、新井は補習の存在すら知らなかったみたいでさ。『強制じゃなかったらめんどくさいし行きたくない』って言ってたんだけど…、井上さんと志望校のこと話し合って、考え方変えたんだな、アイツ」
「ええっ!?…優祐、そんなこと言ってたの?」
あの、終業式が終わった後の教室で、私と優祐はお互いの志望校を決めた。
私とずっと一緒にいたいからって…
それだけのために、今までの考えを変えたの…?
「そうだったんだ〜。補習嫌がってたのに、今日を除いては毎回来てたなんて、愛だね、愛!!」
「華恵、冷やかさないでってば」
「でもそうだと思うけどな、俺は。新井は俺達があきれるぐらい、自分が無駄だと思うことはやらない男だし。…サッカーの練習をのぞいてはね」
「まあ…、確かに、『俺は要領がいい』が口癖みたいなもんだし……」
市川くんにまでそんなこと言われたら、ホント照れるんだけど……。