改訂版・時間よ、止まれ。
「ごめんな、わざわざ来てもらって」
「ううん!!そんなことより……」
「ああ、そうだな。俺がこんなになった原因を話さないとな…」
そういうと、優祐はふうっと軽く息を吸い込んだ。
「昨日の晩、親父とケンカしたんだ」
「え…っ!?お父さんと?」
「ああ…。殴り合いのケンカになって、気付けばこうなってた。ホントはさおりに黙っとこうか迷ってた」
今は引退してるとは言え、仮にもサッカーやってる学生なのに…
こんな激しい親子ゲンカしちゃって、大丈夫なの?
「そして病院から帰ったらさおりからたくさん着信があって。驚いてたら、また電話が鳴った。それが市川だった」
「…市川くん?」
そう言えば、市川くんからも優祐に電話してくれるって言ってたっけ…?
「仕方なく電話に出て話したら、今日さおりと会って、俺がいないことをすごく心配してたって聞いて…。ちゃんと休んだ理由とか話した方がいいって言われちゃったよ」
「そうだったんだ」
「確かに、いつかはさおりに話さないといけないことだからな。こんな姿見せて、また心配させても…、それでも……言わなきゃ」
…もしかして、優祐にはまだ私に話したいことがある…?
口ぶりから、そんな感じに聞こえた。
なんだか、怖い。
根拠はないけど、今から優祐の口から発せられることには私が聞いてはいけないことまで含まれている…。
とてもとても、嫌な予感がした。