改訂版・時間よ、止まれ。
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班長になってしまったことで、ハイキングになんか行きたくないと思っていたんだけど、そう思えば思うほど時間が早く過ぎてしまう訳で……
あっという間に1週間が過ぎ、ハイキングの時間がやってきた。
「さおりー、これも1班の荷物じゃない?」
「え?敷物も持ってくの?たかがハイキングに荷物多すぎじゃない?」
「何だかんだ言って、みんな遊びたいんだね〜」
私と同じく班長になった華恵が、教室に広げられた荷物を整理している。
華恵はどうやらジャンケンで負けて班長になったみたいだけど、他の班員とのチームワークはすでにできているみたいで、華恵の指示で班員の男子が次々と教室から荷物を運び出していた。
サッカーボールにバスケのボール、野球セットにソフトバレーの大きなボール…
それに、ジュースの入ったクーラーボックスと救急箱に敷物……。
「この空き缶は一体何なの?」
「あ、コレ?うちの3班の提案で、缶蹴りしようと思って」
華恵、ちゃっかりしてるなぁ〜。
…てか、クラス全員で缶蹴りなんて、かなり大変なんじゃ…?
「あれ?新井いないね。どこ行ったの?」
「え、知らないよ。別に私と他の男子がいれば、これぐらいの荷物なら足りるだろうし」
「新井サッカー部なんだし、いたら戦力になるのにねぇ」
「勝手に私を班長にしといて消えるなんて、サイテーなヤツ」
「そんなこと言わないの、さおり」