改訂版・時間よ、止まれ。
「そろそろ日が暮れるな。暗くならないうちにちゃんと家に帰れよ」
「優祐も…気を付けてね」
「ああ」
そこまで言うと、優祐は自分の帰る方向へと身体を向けた。
私はそんな優祐の後姿を見守った。
数歩歩いた後、優祐は歩を止め、顔だけ振り返ってきた。
「さおり…、じゃーな!!」
その顔があまりにも明るい笑顔だったから、私は驚いてしまった。
何でこんな時に、いつも通り別れられるの…?
だけどきっと、それが優祐の別れ方なんだね。
私は無理矢理微笑みながら、優祐に手を振った。
でも…
優祐がまた帰る方向に頭を戻した時、とまどなく涙が流れてきた。
もう引き返せない。
この交差点はきっと、私達二人の別れ道なんだ……。
私は、ぬぐっても流れてくる涙を止められないまま、自分の帰り道へとゆっくり歩を進めた。
――
―――――