改訂版・時間よ、止まれ。
華恵が私を励ますように、背中を軽く叩いてきた。
すると、私の班の男子が話し掛けてきた。
「井上ー、これでおしまい?」
「あっ、この敷物もだって」
「マジかよ。新井は?」
「…行方不明。大丈夫。軽いものは私が持つから」
「そっか…。まあ何とかなるか」
私の1班は、男子4人に女子2人。
だから、新井がいなくても男子3人もいるし、たぶん全部持って行けるはず。
「さおり、出発は1班からでしょ?急いだ方がいいんじゃない?」
「あ、そっか。じゃあまた頂上でね、華恵」
私は同じ班の新井以外の男子と共に荷物を抱えて、教室を駆け出した。