改訂版・時間よ、止まれ。

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「しかしよく食ったよなー、さおり。浴衣って結構締め付けるんだろ?大丈夫か?」



「大丈夫。すっごく満足したぁ〜」






今まで優祐との別れのことばかり考えてて、食欲も減ってたんだけど、こうやって優祐に会えたら、何かホッとしてたくさん食べちゃった。






…というか、夏祭りの会場からはだいぶ遠ざかったような…。





優祐、どこに行く気なんだろう?









「もうすぐ着くから」



「うん…、あれ?ここ……」






もうすっかり暗くなったから分かりにくかったけど、この辺って、うちの中学の近くじゃん!!






「おっ、分かった?ほら着いた。中学校」



「ええ!?入って大丈夫なの?」



「意外と知られてないみたいだな。実は夏祭りの日って、中学校開放してるんだぜ」



「全然知らなかった…。確かにグラウンドに何人か人がいるね」



「小学生とかよく鬼ごっこしてるんだよ。夜になって外に出て遊ぶなんてこと、あんまりないだろ?この時とばかりに暴れ回ってるぜ。……で、こっちこっち」



「えっ?」






優祐に急に手を引っ張られて、私達は校舎の方へと歩いて行った。








そして、外にある非常階段を上って、屋上に着いた。






「…さおり、大丈夫か?」



「うん。ココのぼるんだったら、こんな食べるんじゃなかったかも」



「…いや、俺、浴衣だから心配したんだけど」






切れた息を整えながら優祐の背中を追って、屋上のフェンスまでやってきた。





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