改訂版・時間よ、止まれ。
カラフルな花火が次々と上がる中、それまでずっと黙って花火を見ていた優祐が口を開いた。
「時間が…、止まってくれればいいのにな」
「…え?」
私が優祐の方を見ると、優祐は私に向かって穏やかに微笑んでいた。
その微笑みが、逆に私を切ない気持ちにさせた。
「俺、さおりと会わない間、色々考えたんだ。今日、何て言おうかとか…」
「うん」
「だけど、結局何も浮かばなかった。むしろ、離れたくないって気持ちばかりが強くなって……。このまま時間が止まって、さおりとずっといれたらな…」
…優祐も?
私だって…、本当は同じ気持ちだよ。
今日は無理してでも一生懸命はしゃいでみたけど、私だって、あの公園で話した日から今日まで、時間はたくさんあったはずなのに考えなんてまとまらなかった。
「ねえ、やっぱりこのまま別れるなんて私納得できないよ」
「…さおり?」
あ…、言うつもりなんてなかったのに、言ってしまった。
笑顔で送り出すつもりだったのに…
何でこんな時に、わがまま言ってるんだろう?
「私、会えなくてもいいから!優祐とずっと、どんな形でもいいからつながっていたい」
でも、一度言ってしまった言葉はもう止められなくて。
優祐のことを困らせるって分かってるのに、私はつい、本音を口にしてしまった。
私の言葉を聞いた優祐は、静かにうつむいた。
「…そう思ってもらえるだけでも、俺は幸せだよな」
「優祐…?」