改訂版・時間よ、止まれ。
私の手の上に重なった手に、ぐっと力が込もったのを感じた。
そして、優祐は真っ直ぐに私の顔を見てきた。
「俺、さおりのことが好きだ」
『好き』という言葉が、ストレートに私の心に響いてきた。
そう言えば私…、優祐にちゃんと『好き』って言われたの、初めてだ……。
「優祐…、私も好き」
私も自分の素直な想いを伝えた。
でも『好き』と伝え合ったのが、別れる日だったなんて…
残酷すぎて、鼻の奥の方がツンとした。
「俺達、こんな終わり方だったけど、大人だったらこんな事情に振り回されずに続けていけたかな…?」
「…大人?」
まだ、連発の花火が次々と夜空に花を咲かせている。
優祐が不意に花火に目を移したから、私も優祐の見つめる方向に目線を移した。
「大人になったらまた会える。それまでお互い、別々の場所で頑張ろう」
親の都合とか、転校とか、そんな事情に振り回されない年齢になるまで…
優祐、そう言いたいの…?