改訂版・時間よ、止まれ。
「さおり…」
優祐に名前を呼ばれて振り返ると同時に、身体ごと優祐に向き合うような体勢にさせられた。
そのまま、私の唇にキスが落ちてきた。
温かい、柔らかい、優しいキス。
胸の鼓動が高鳴って、熱い気持ちがこみ上げてきた。
きっともう、感じることもない感覚。
そう…
これが、優祐との最後のキスだから。
どのくらい、そうしていたのだろう?
すごく長い時間、抱きしめ合っていた気がする。
しばらく何も話さずに、ただ身体を優祐に預けてた後、私達は学校を出て歩き出すことになった。
「…こんな所まで送ってもらって、ごめんね」
「さおりを一人で家に帰すわけにはいかないだろ」
二人で手をつないで歩いて、気が付けば私の家の近く。
…本当に、この手が離れたら、全てが終わる。
「…優祐、元気でね。サッカー頑張って。私、遠くからずっとずっと応援してる」
「サンキュー。さおりも受験勉強頑張れよ」
「うん…」