改訂版・時間よ、止まれ。
「あー!新井、こんなトコにいたの?荷物を持ちなさいよ!!」
男子達と教室を後にし、グラウンドの出発地点に向かうと、何故か他の班の男子と話し込む新井を発見した。
「ああ、井上。班長業、御苦労」
「他の男子は荷物持ってんのに、何も感じないわけ!?」
「あ〜〜、しゃあねぇなあ」
急にめんどくさそうな表情になった新井は、それまで話していた男子と離れて、私の方に近付いてきた。
「すげえ汗だくじゃん。たかが敷物と救急箱持ってるだけだろ」
「1班から出発だから、急いで来たんじゃない」
「まだ時間はたくさんあるんだから、待たせときゃいいだろ」
「そんなんじゃ、他の班からブーイングでしょ?」
「分かった分かった」
ホント、どこまでもめんどくさがりなんだから…!
もう一言二言文句を言ってやろうと思ったら、新井はうちの班の男子のうちの一人が持っていたクーラーボックスを奪うように持ち始めた。
「これで文句ねぇだろ?で、井上の敷物はコイツに持たせればいい」
…と言いながら、新井はさっきまでクーラーボックスを持っていた男子に、私の持っていた敷物を持たせた。