改訂版・時間よ、止まれ。





目を輝かせながら市川くんの話をする華恵の横でため息をついて、私は掲示板を後にした。





すると、慌てた様子の華恵が小走りで私を追いかけてきた。






「ごめんごめん!ねえ、新入生の説明会、一緒に行こうよー」



「ちょっとは傷心の友達を気遣ってよー」



「ごめんって。…ねえ、新井にはこのこと報告するの?」



「え?優祐?」






たぶん意識的にだと思うけど、優祐と別れてからは、華恵も市川くんも優祐の話題を避けてくれていた。





だから久しぶりに優祐の名前を聞いて、私の胸は少し跳ねた。






「…聞こうかどうか、迷ってたんだけど…、ホントにさおり、新井と連絡取ってないの?」



「うん。取ってないよ。だって、別れてるのに…」



「嫌いで別れたわけじゃないじゃん。それに、連絡先はお互い知ってるわけだし…」



「…私、思ったより心が弱かったみたい」



「…えっ!?」








私達はS高の校門をくぐって、中学校に向かうためバスに乗った。





中学校の近くのバス停に止まるまで約15分、私は優祐と別れた後の気持ちの変化を華恵に話した。








「私、優祐と別れてしばらく、ずっと家で携帯とにらめっこしてた」



「新井の連絡を待ってたの…?」






私は華恵の言葉に軽くうなずいて、制服のポケットから携帯を取り出した。





< 143 / 236 >

この作品をシェア

pagetop