改訂版・時間よ、止まれ。
―第2部―
『自由』の意味
―――――
――
あの時は、二人の下した判断が正しいものだと思っていた。
だけど、離れてから分かる。
もしかしたら、あの時別れたこと、間違っていたのかな……?
そう。
あの時の二人は幼かったんだ。
幼すぎる恋だったんだ──。
「ふーーん。『幼すぎる恋』、ねぇ……」
「あっ、美奈!!びっくりしたぁ〜」
「次移動だよ?漫画読んでる場合じゃないでしょ」
「うそ!?そうだっけ???」
あれから1年と少し。
私は、高校2年生になりました!!
そして、私の横から漫画を盗み読んだ黒髪ロングのクールな彼女は、近藤美奈(こんどう・みな)。
3年間クラス替えがないうちの商業科のクラスで、1年の時から一番仲のいい女の子。
私は慌てて、制服のポケットから紙切れを取り出して、それをしおり代わりに漫画に挟んだ。
「いつも気になってたんだけどさ、そんな破れそうなボロの紙切れじゃなくて、ちゃんとしたしおり使えばいいのに」
「いいの、これで!!行こう、美奈」
この紙切れは、確かにもう破れてしまいそうで、色あせ始めてるけど、私には大事な大事な紙切れ。
S高校に落ちて担任の先生にそれを報告した時、先生から『優祐からの預かり物』としてもらったもの。
ちゃんと優祐の気持ちが形になっている、唯一の物だから──
私はその日からずっとずっと、持ち歩いていた。