改訂版・時間よ、止まれ。





「ところでヤス、センセーに呼び出されてたってマジ?」



「ああ…今日、日直だから、日誌渡されただけだよ」



「なーんだ、つまんねえの」






中原くんがてっきりいつもの自分と同じように先生に怒られているものだと思っていたサンタは、面白くなさそうに前髪を触り始めた。






「井上さん、また漫画持ってるんだ。…それ、前のとは違うやつだね」



「うん。昨日本屋さんで見かけて、面白そうだから買っちゃった」






中原くんに話しかけられて、私は持っていた漫画の表紙を見せた。






「俺、少年漫画しか読んだことなかったけど、この前貸してくれたやつ面白かったよ」



「ホント?私も続き気になってるんだー」



「今度続き出て、読み終えたら貸してくれよ」






中原くんも、私と同じで結構漫画を読んでいて、趣味がよく合う。






最初は美奈のいとこの友達という、ほぼ他人のような関係だったけど、1年生の夏休み前ぐらいに個人的に中原くんに話しかけられるようになってから、私と美奈とサンタと中原くん、4人で行動することが多くなったように思う。







…まあ、美奈はサンタとの腐れ縁にホント嫌気がさしてるみたいなんだけど。








「おいヤス。漫画もいいけど、合コン行かねえ?今日、人数足らなくてさぁ…」



「…俺、日直って言ったよなあ?」



「えーーっ!?そんなのサボればいーんじゃね?」



「遠慮しとくよ。他の暇そうなヤツ誘えよ」



「何か俺が暇人みたいじゃねーかよ」






いきなりサンタが間に入ってきて驚いたけど、中原くんとサンタの会話を聞いてると面白くて、ついつい笑ってしまう。





< 154 / 236 >

この作品をシェア

pagetop