改訂版・時間よ、止まれ。
「和幸、アンタ来たら逆にうるさいから学校サボっといてくれない?」
「美奈っちもそんなことゆーのかよ!じゃあ井上は??俺、邪魔?」
「え?私は楽しいけど…」
「やっぱ井上は話が分かるなぁ」
「さおり、こんなヤツにまで優しくしなくていいよ」
美奈にそう言われながら腕を引っ張られて、残されたサンタは中原くんの隣で悔しそうな顔をしながらまた前髪をいじっていた。
「はあ。マジ疲れるし。とりあえず和幸は中原に任せよう」
美奈の言葉にうなずいて、気が付くと渡り廊下に差し掛かっていた。
今日もいい天気。
今は5月半ばだから、草木の緑が生き生き光ってて、日差しもまぶしい。
「さおり、和幸と中原のコンビ好きみたいだね。何で?ウザくない?特に和幸」
「はははっ。でも二人とも悪い人じゃないよね」
「そう?あんな不良、いとこじゃなかったら会話もしないところだよ」
「サンタのこと?私は話とか面白いと思うけどなぁ」
「間違っても和幸じゃなく中原と付き合いなよ……って、さおり、好きな人いるんだったよね?」
「あ……、うん」
…実は、美奈達には優祐のことをあまり話してない。
別れてるハズなんだけど…、私はまだ優祐のことをずっと想い続けていた。
それを自分から話すには、まだ勇気がいる。
それくらい、私は未だにあの別れのショックから立ち直ってないってことなのかもしれないけど……。
とりあえず美奈には、『好きな人がいる』としか伝えてない。