改訂版・時間よ、止まれ。
「和幸はともかく、中原は実直で穏やかないいヤツだと思うけどなー。まあ、好きな人いるんだったら、そっち頑張りなよ」
でも美奈はそこから深く聞いてくることはしない。
私も何も知らない人に根掘り葉掘り聞かれるのは得意じゃないから、結構それで助かってるんだけど。
私は持ち歩いていた漫画の表紙を見た。
この漫画に挟めた、しおり代わりの優祐の手紙。
…もう、優祐と離れて、2年が経とうとしているのに…。
私の気持ちは、まだ優祐から動けないでいるんだ。
やっぱりあんな約束なんかしてしまったからなのかな?
『成人式で会おう』だなんて。
高2になった今から考えたら、少し分かる。
あれは、私があの時わがままになってしまったから、優祐が仕方なく交わした約束だったんだよね…?
別れるって決めたんだから、未練たらしくしなきゃ良かった。
あそこでちゃんと諦めてたら、私の中の時間はもうとっくに動いてたかな…?
ねえ、優祐。
あなたはもう、私のことなんて忘れてしまったよね?
幸せに……、いい恋、してるよね…?
渡り廊下から見える青空を見ながら、私はそっと心の中で、優祐に問い掛けた。
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