改訂版・時間よ、止まれ。
「何かあったの?」
「あ…、いや、その……、数学の課題忘れちゃって、呼び出されてたんだよね……」
何か、宿題を忘れたことなんかない、真面目な中原くんにこんなこと言うの、本気で恥ずかしいんだけど。
「あっ、そうなんだ。…わりい、余計なこと聞いちゃったな。もし今度課題忘れたら、言ってくれよ。力になるから。……じゃーな」
「うん。また明日ね」
こんなダメな私にも、ホント優しいな……、中原くんって。
去りゆく自転車に手を振りながら、次は宿題を忘れないようにしようと固く誓った……その時。
「さおり?今の人、誰?すごく仲良さそうだったじゃん。彼氏?」
「ええっ?違うよ。中原くんはクラスメイトだし」
「すごくお似合いカップルだったー!!」
「だから違うってば!!」
横からニヤニヤと笑う華恵に冷やかされ、私は苦しい弁解をするハメになってしまった。。。
「へぇ…。さおりの友達のいとこの友達………って、他人でしょ、それ。言い訳にしては下手くそだよ?」
「やっぱ信じてもらえないか…」
そう言えば、うちのクラスの友達の話、ちゃんと華恵にしたことなかったかもしれない。
だって、華恵とそんなに会えないし、会ったとしても華恵のノロケ話が大半だったしな……。