改訂版・時間よ、止まれ。

―――――
――










「さおりと新井の会話、うちの3班まで聞こえてたよー」



「えっ!?マジで?」



「ホント仲良いんだから〜」



「冗談じゃないわよ!新井が『荷物が重い』だのごちゃごちゃ文句言ってくるから…」



「何だかんだ言って、新井荷物持ってたんだね。やるじゃん」



「何言ってんの、華恵。こんな時に運動部が働かなくてどうすんのよ。持ってない方がおかしい!」






歩き始めて15分ほどで頂上に着き、しばらく自由行動になった。





私は華恵と敷物を敷いてその上に座り、クーラーボックスの中のペットボトルのジュースを飲みながら休憩していた。






「あっ、さおり。新井がサッカーしてる!」



「は?あんなヤツのことなんてどーでもいいし。それよりさ……」





と、別の話題に持っていこうと思ったんだけど、隣に座っている華恵は、キラキラと瞳を輝かせながらサッカーをしている男子の集団の方を見つめていた。






新井のどこがカッコイイって言うんだろ?





私に対してカッコイイ一面なんか見せたこともないクセに。






華恵の神経が分からないな…と思いながら、私も華恵の目線の先を追った。





そこには、いつもつるんでいる仲間たちとサッカーを楽しんでいる新井の姿があった。





ちょうど新井が味方からパスを受けたところだったみたいで、敵のチームの男子を一人二人と、軽やかな足さばきでかわしている。





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