改訂版・時間よ、止まれ。





「な〜切ない恋、してんだろ?だからそんな漫画買っちゃうんだよ。『私だけじゃなかった、こんなに悩んでるの』、みたいな」



「もうっ!!別に好きな人が一人二人いてもいいじゃない」



「やっぱいるんじゃん。誰誰?」






はっ!!



しまった〜〜〜っ!!






つい、サンタの口車に乗ってしまったよ。。。





私ってもしかして、サンタより単純…?






サンタと中原くんの視線に耐えきれなくなって、私は少しだけと心に決めて優祐のことを話すことにした。






「たぶん二人とも知らない人だよ。それに転校しちゃったから……」



「え…?じゃあ本当に、好きなのに離れたってこと?」






中原くんに驚きの視線を向けられて、私は思わずうつむきながらうなずいた。






「本当に漫画みたいだな…」



「そんなすごい話じゃないよ」



「なぁなぁどんなヤツ?やっぱ漫画好きとか〜?」


「いや……、漫画の話はそんなにしなかったかも。サッカーばっかりだったし…」



「サッカー???」






サッカーという単語に反応したのは、何故かサンタだった。





サンタは赤いメッシュの入った前髪をいじりながら、少し考えた後、私にこう聞いてきた。






「井上って、A中だったよな…?A中でサッカー部で転校したヤツ……。もしかして、新井優祐じゃね?」






え…?



何でサンタが優祐の名前を知ってるの…?





< 174 / 236 >

この作品をシェア

pagetop