改訂版・時間よ、止まれ。
「な〜切ない恋、してんだろ?だからそんな漫画買っちゃうんだよ。『私だけじゃなかった、こんなに悩んでるの』、みたいな」
「もうっ!!別に好きな人が一人二人いてもいいじゃない」
「やっぱいるんじゃん。誰誰?」
はっ!!
しまった〜〜〜っ!!
つい、サンタの口車に乗ってしまったよ。。。
私ってもしかして、サンタより単純…?
サンタと中原くんの視線に耐えきれなくなって、私は少しだけと心に決めて優祐のことを話すことにした。
「たぶん二人とも知らない人だよ。それに転校しちゃったから……」
「え…?じゃあ本当に、好きなのに離れたってこと?」
中原くんに驚きの視線を向けられて、私は思わずうつむきながらうなずいた。
「本当に漫画みたいだな…」
「そんなすごい話じゃないよ」
「なぁなぁどんなヤツ?やっぱ漫画好きとか〜?」
「いや……、漫画の話はそんなにしなかったかも。サッカーばっかりだったし…」
「サッカー???」
サッカーという単語に反応したのは、何故かサンタだった。
サンタは赤いメッシュの入った前髪をいじりながら、少し考えた後、私にこう聞いてきた。
「井上って、A中だったよな…?A中でサッカー部で転校したヤツ……。もしかして、新井優祐じゃね?」
え…?
何でサンタが優祐の名前を知ってるの…?