改訂版・時間よ、止まれ。





「さおり、ごめんね…。和幸のヤツがペラペラと。私もつい寝ちゃっててさ」



「ううん。大丈夫だから…」



「あんまり気にしちゃダメだよ。アイツああいう話、面白がってするから。ほとんど作り話だし」



「うん…」






でも、中学の時の優祐の話にウソは全くなかった。





だから余計に、高校の優祐の話を本当だと感じてしまうんだ。






「修旅は始まったばかりだよ、さおり。とにかくちょっと休んだら?寝たら気持ちもすっきりするかも」



「ありがとう、美奈…」







そうだね、旅行は始まったばかり。





せっかくの修学旅行、やっぱりみんなと楽しみたい。






優祐のことを考えるのは、帰ってからでも遅くないよね…?










私はそう思い直して、背もたれを少し倒して眠りにつくことにした。













――
―――――

< 177 / 236 >

この作品をシェア

pagetop