改訂版・時間よ、止まれ。
「さおり、ごめんね…。和幸のヤツがペラペラと。私もつい寝ちゃっててさ」
「ううん。大丈夫だから…」
「あんまり気にしちゃダメだよ。アイツああいう話、面白がってするから。ほとんど作り話だし」
「うん…」
でも、中学の時の優祐の話にウソは全くなかった。
だから余計に、高校の優祐の話を本当だと感じてしまうんだ。
「修旅は始まったばかりだよ、さおり。とにかくちょっと休んだら?寝たら気持ちもすっきりするかも」
「ありがとう、美奈…」
そうだね、旅行は始まったばかり。
せっかくの修学旅行、やっぱりみんなと楽しみたい。
優祐のことを考えるのは、帰ってからでも遅くないよね…?
私はそう思い直して、背もたれを少し倒して眠りにつくことにした。
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