改訂版・時間よ、止まれ。
美奈の言葉に驚いて、私は荷物を整理する手を止めた。
美奈はいつの間にか備え付けられていたポットでお湯を沸かしていて、コーヒーを2杯分作ってくれていた。
「まあ、ご飯の時間までかなりあるから話そうよ。私はずっと離れてても誰か一人を想い続けられるって、すごくて強いと思うよ」
「すごくないよ。諦められないだけだし」
美奈がコーヒーを持ってきてくれて、私はそのコーヒーを受け取り、ベッドの上に座った。
「でもこれでさおりの想いが本物だって分かったかも」
「え!?どういうこと?」
「私、さっき中原とさおりを隣同士に座らせたでしょ?」
「あ…、うん。もしかして……、わざと!?」
「別にくっつけさせようと思ったわけじゃないよ。さおりの気持ちは知ってるわけだし。ただ…、別の男子と話すことで、気分転換できるかと思って。ずっと一人に固執するのも気持ちと言うか…世界が広がらないでしょ?この世には色んな男がいるんだからさ」
「そうだったんだ…。ありがとう」
「和幸が出てきたのは想定外だったけど、おかげでさおりの強い気持ちが分かった気がする」