改訂版・時間よ、止まれ。
「へえ、結構綺麗な景色だね。もっとつまんないかと思ってたけど、お土産屋さんもあるし」
「見て見て、美奈!神社があるよ」
「うお〜!恋愛と合格祈願だって!やっぱ俺は恋愛だな。カワイー彼女祈願♪」
「和幸は成績アップにしときなよ……」
美奈とサンタと神社の前にある説明書きを読んでいると、トイレに行っていた中原くんがキョロキョロしながらこっちに帰ってきた。
「おう!ヤス!スゲーよなあ、この景色!!もー感動モノだろ??」
「確かにすごいな。これが都会なんだな…。しかも、他校の修学旅行生もかなりいるし」
「…そういや見慣れない制服の人、かなり多いよね」
「そう言われてみれば……」
今まで景色と東京タワーの施設しか見てなかったけど、中原くんと美奈の言葉に反応して私も顔をキョロキョロさせると、確かに見たことのない制服の高校生達が景色を堪能している姿を目にした。
「やっぱそれだけ東京タワーが大人気ってことだな。どーだ、俺すげーだろ!」
「いや、別に和幸はすごくないでしょ」
「そうそう。すごいのは東京タワーだろ?」
サンタの一言に、美奈と中原くんが一斉に突っ込む様子を見て、思わず大笑いしてしまった。
すると、そんな私を中原くんが微笑みながら見てきた。
「そういやトイレがあった階にカフェがあったよ。井上さん好きそうじゃないかな」
「え?カフェまであるの?すごくおしゃれだね」
「ふーん。行ってみようよ、さおり」
「おい!俺なしで勝手に決めんなよ!!」
何故か怒ってふてくされたサンタが後からついてくる形で、私達はカフェへと向かった。