改訂版・時間よ、止まれ。
「すごーい!ここからでも見晴らしいいね」
私達が座った席はもちろん、景色が綺麗に見える窓側。
でも、テーブルではなく一列の席に座ったことが、サンタにとってはまた不満だったらしい。
「なんでこんなトコなんだよ?やっぱ顔見て話したくねぇ?」
「何が嬉しくてこんなにいとこの顔四六時中見ないといけないのよ。だったら景色見てた方がマシだってば」
「はははっ。でもここ、漫画読むのにも最適かも」
私はそう言いながら、バッグから漫画の単行本を取り出した。
…私は重くて持ってこれなかったから、もちろん、中原くんから借りたものだけど。
「ああ、確かにこんな景色の中で読むのは格別だろうね。俺も漫画読もうかな」
中原くんまで漫画を取り出し始めて、サンタはますます不機嫌な顔になった。
「漫画なんていつでも読めるじゃねーかよ。井上もヤスも意味分かんねーな」
「じゃあ私はこれ飲んだら土産物屋でも見に行こうかな。和幸はどうすんの?」
「………仕方ねーからついてってやるよ」
「アンタに上から目線される覚えはないけど」
その後本当に美奈とサンタはお土産屋さんへと向かい、私と中原くんはカフェに残って漫画を読み始めた。