改訂版・時間よ、止まれ。
「うん。その通りだよ。私…、新井……、優祐と付き合ってたんだ。転校するまでたったの1か月ちょっとだったけど」
「え!?そうだったんだ?俺てっきり、ずっと片想いしてるのかと思ってた……」
中原くんがびっくりするのも無理はない。
私、『好きな人がいる』としか言ってなかったし。
美奈にさえも……。
「そうだったのか……。元彼だったのか。いやごめん。よく考えれば、俺の勘違いだったんだけど。サンタが、新井はすごくモテてたみたいな話をしてたから、てっきり」
「ううん。私もちゃんと言ってなかったし。今あの当時を振り返ってみると、私、すごいよね。確かに『新井ファン』って言われる女子がたくさんいたのに、優祐はそれでも私を選んでくれたんだから」
「そんなすごいヤツなら、ホントかどうかは分かんないけどサンタの言ってたウワサが流れてもおかしくはないよな…」
「きっと本当だよ……」
もちろん根拠なんてない。
だけど、嫌な胸騒ぎがするんだ。
サンタからウワサを聞いた時から……。
「……井上さん、悩んでる?苦しそうなんだよ。見ててこっちも辛くなるくらい」
「もう……、分かんなくなりそうだよ。このまま待ってても、この気持ちは報われないはずなのに」