改訂版・時間よ、止まれ。
「あの…私……」
何て答えたらいいのか分からない。
続きの言葉が全然出てこない。
私の頭の中が真っ白になった。
すると中原くんは、ふうっと息を吐き出して、真剣な顔を少しだけ崩した。
「ごめん。今こんなこと言っても、井上さんを更に混乱させるだけだよな。俺、井上さんを苦しめたくないのに」
「ううん…」
「でも、俺は絶対どこにも行かない。ずっと井上さんの側にいるって言える。何があっても井上さんを守るから。それを証明するために、俺は修旅の班長になったんだ」
…今、この場で中原くんの手を取れたら、どれだけ楽になれるんだろう?
優祐だって、新しい道を歩き始めているかもしれない。
だったら私も……って考えるのは、きっと自然なこと。
あの約束があっても、私達が別れていることは事実なんだから、私が新しい恋を見つけてもいいんだ。
それは分かる。
分かるんだけど……、どうして私、ためらってるの?