改訂版・時間よ、止まれ。





「ごめん、私………」






どう答えていいのか分からなくなってしまった私は、口早に「考えさせて」とだけ言って、中原くんの前にお金を置いて席を立った。








優祐以外の人から、初めて告白をされたような気がする。





しかも、それまで友達だと思っていた人。







優祐への想いを貫いて、断るべきなの?




それとも、前を向いて中原くんの手を取るべき?







分からない……



分からないよ…!












席を立つと同時に、涙が一筋頬を伝った。






分かんない…、どうして私、泣いてるんだろう?












私はとりあえずトイレに行こうと思い、走り出した。






カフェを出てすぐのところで、誰かとぶつかった。






涙を隠すためにうつむいてたから、顔までは見えなかったけど、他校の高校生カップルだったと思う。






私は「すみません」とだけ言って、トイレに向かった。








「井上さん!!」






遠くで中原くんが私を呼ぶ声が聞こえた気がしたけど、そんなの関係なく私は走り続けた。













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