改訂版・時間よ、止まれ。
「あっ、さおり!大丈夫?」
美奈からのメールの通り、カフェの入口まで歩いて行くと、美奈が心配そうな表情で私に走り寄ってきた。
「美奈…、ごめん。突然いなくなっちゃって…」
「いや、いいんだよ。とにかく無事で良かった」
…でも、何故か美奈しかいない。
中原くんとサンタはどこに行ったんだろう?
すると美奈は私の肩を抱いてきた。
「話は中原から全部聞いたよ。中原がまさかここでさおりに告ってくるとはね」
「ねえ、中原くんは…?あとサンタも」
「正直、会いたくないでしょ?ホテルに帰るまでは男女別行動ってことにしたよ。…って言っても、あと1時間ぐらいしかないけど」
「…ありがとう」
わざわざ私に気を利かせてくれた美奈には、本当に頭が上がらない。
美奈の優しさが嬉しくて、また涙が一粒こぼれてきた。
美奈は私の涙を自分の制服の袖でぬぐって、私の手をつかみながらカフェへと足を向けた。
私も美奈につられてカフェに入っていった。