改訂版・時間よ、止まれ。
「ごめんなさい。あれから色々考えたけど、俺、井上さんの気持ち全然考えてなかった」
「中原くん…」
慌てて涙を拭いたけど…、目は赤いし、もうボロボロだろうな。
誠心誠意で深々と頭を下げてくる中原くんを見ていると、さっき決めた気持ちが少し揺らぎそうだった。
だけど、もうちゃんと決めたから。
「私も…、ごめんなさい。中原くんの気持ちには応えられません。私やっぱり、優祐のことが好きだから。忘れられないから。例えもう会えなくても、彼女がいたとしても、私は待つことにしたから…」
「…そっか。井上さんがそう決めたなら、俺、井上さんのこと応援するから。だから…、図々しい願いかもしれないけど、これからも今まで通り友達でいてほしい。また漫画の話、井上さんとしたいから」
「うん…、私も中原くんとずっと友達でいたいよ。でも、本当に気持ちだけはすごく嬉しかった。こんな私のこと、好きになってくれてありがとう」
そこまで言うと、ずっと頭を下げっぱなしだった中原くんがゆっくりと背中を起こしてきて、私達は目が合った。
そこで初めて、お互い微笑み合った。
「まあヤス、女に振られたからって落ち込むなよ。俺だったらいつでも付き合うからさ〜」
突然、それまで黙っていたサンタが中原くんの隣に立って、中原くんの肩を抱いた。
でも…、その顔、何故か嬉しそう??