改訂版・時間よ、止まれ。
悪夢のクラス替え
校門をくぐると、校舎に続く道に沿ってピンク色の桜の花が綺麗に咲き誇っていた。
4月初め。
私は中学3年生になった。
ドキドキしながら新しい教室に向かい、自分の席に座る。
クラス替えすると、いつも緊張する。
新しくクラスメイトになる人達。
どんなメンバーなんだろう…?
自分の机の上にカバンを置き、荷物を整理していると、聞き覚えのある男子の声が聞こえてきた。
「おーい、井上!シャーペン貸してくれよ」
あれ?
この声……、もしかして…
いや、もしかしなくても……っ!!
私はパッと顔を上げ、声のする方向に目をやった。
すると…
「何で新井がこんなトコにいるのよ!?」
やっぱり。
新井優祐(あらい・ゆうすけ)だ。
あからさまに嫌な顔を向けた私に対して、新井はそれまでのニカッとした笑顔を少し崩した。
「はぁ?同じクラスだろ?」
「ウソつくんじゃないわよ」
何かの冗談でしょ?
やっとクラス別れられてせいせいしたトコだったのに。
半信半疑のまま、私はさっき配られたクラス割りのプリントをもう一度取り出した。