改訂版・時間よ、止まれ。
私はメニューをペラペラとめくった後、水を持ってきた店員さんに「キャラメルラテ1つ」と頼んだ。
すでにホットのミルクティーを飲んでいた華恵は、おかわりとして置いてあったポットからもう一杯紅茶をつぎ足した。
「でも本屋さんも意外と大変じゃない?毎回毎回漫画読んでられないでしょ」
「別に漫画読みたくて入った訳じゃ……、でもちょっとそれもあるかな。春からやっと漫画部門に異動になりそうなんだ」
「へぇ〜。まあもう就職して2年だもんね。希望のところに行けそうで良かったじゃん」
「華恵や市川くんには全然及ばないけどね…」
夢を着実に追いかけている二人には遠く及ばないかもしれないけど、私も好きな漫画に囲まれる仕事をやれてるんだから、小さいながらも幸せかな。
「明日成人式でしょ?会場が中学校だから、どうしても小中一緒だった人がメインになるよね。M高の同級生とかどうしてるんだろう…?」
「そうだね。華恵とか特にこっち戻ってくることもあんまりないしね」
華恵が頬杖をついて窓の外を眺めた。
夕方の時刻なんだけど、もうすっかり暗くなっていて、通りを走る車もライトを光らせていた。