改訂版・時間よ、止まれ。
「でもさおりに会えて良かった。明日も会えるけどさ、私とミツルくん、式が終わったらすぐに帰らないといけないんだ」
「ああ、あさっては平日だもんね。講義があるんでしょ?」
「うん。週一で朝イチの講義があるんだよね。ちょうどあさってがその日なんだ。ああサイアク…」
「慌ただしいね。でもちゃんと講義に出るなんて感心感心」
「英語の専門科目だからね。しかも教授が厳しい人で、うっかりサボると単位落としちゃうかもしれないから…」
「大学の話、聞くと新鮮だな〜。地元で私の周り、中原くんぐらいしか大学生いないし」
「あっ、そういえば中原くん!どうなの最近?」
「どうって……」
華恵ってば、完全に高校の時の修旅のトラブルのイメージで中原くん見てるんだから…。
もうわだかまりはないし、むしろあの時よりも友情は深まったんだけどな。。。
「…やっぱり何もないのか。さおりもあれ以降全然浮いた話ないよね」
「高3の時は就活で必死だったし、就職してからは仕事覚えるのに必死だからそれどころじゃないよ」
「えーーーっ!?本屋さんの上司や先輩の男の人とか、カッコイイ人いないの?何かこう、本が似合う爽やかで知的な感じの……」
「何のイメージ!?実際はそんな人ほとんどいないよ。加齢臭のオッサンばっかり」
「あー、一気にテンション下がったかも。やっぱり現実なんてそんなものか。何か就職する気失せたな〜」
「そんなこと言ってると、あっという間に就活の時期になっちゃうよ。ちゃんと考えとかないと、希望じゃないところになっちゃった人、商業科のクラスメイトでもたくさんいたし」
「ああ、憂鬱。話題変えていい?」