改訂版・時間よ、止まれ。
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「ああ〜〜〜、疲れた。オッサンの話ばっかりだったしぃ。振袖だから、余計に疲れたかも」
小一時間後。
ようやく成人式の式典が終わり、それまで大人しくありがたいお話を聞いていた華恵は、ため息をつきながらゆっくりとパイプ椅子から立ち上がった。
「まあ、成人式も立派な式典だからしょうがないよ、はなちゃん。とりあえず外に出ようか」
「そうだね。華恵、記念品忘れてるよ」
「どうせこれも使えない写真立てとかなんだろうな…」
ブツブツ文句を言いながら、私から『成人式記念』と書かれた紙に包まれたものを受け取った華恵は、私と市川くんの間に入って歩き始めた。
そして体育館の外に出てもう一度グラウンドに戻ったところで、華恵は急に意気込み始めた。
「よーーし!今度こそ新井探そうね!そしてこのデジカメにおさめるんだぁ〜」
「ちょっと、優祐を何だと思ってるのよ」
「はなちゃん、俺達あまり時間ないからね。とにかくギリギリまで探そう」
さっきの式が始まる前の時間帯よりも、優祐が来ている確率が高い。
そう思っただけで、私の胸もいつも以上にドキドキし始めた。
この感覚……、いつぶりだろう?
久しぶりに感じるよ。