改訂版・時間よ、止まれ。
私達3人は、さっきよりも気合いを入れて混雑するグラウンドを動き回って優祐の姿を探し始めた。
けど、久々に会う同級生は何人か見つけたけど、優祐の姿を見つけることはできなかった。
…やっぱり……、忘れちゃったんだ、優祐……。
「ここまでだな……。はなちゃん、着替えとかしてたらこれがギリギリの時間だよ。帰ろう」
「えーーーーっ!?嫌だよ。私、新井に言ってやるんだから。さおりとあんな約束しといて、自分は何やってんのよって」
「気持ちは分かるけど……、とにかく戻ろう。タクシー呼ぶから」
「だって……」
華恵…。
私のために、そんなこと思ってくれてたんだ。
しかも私以上に悔しそうな顔してるよ。。。
「華恵、市川くん…、どうもありがとう。あとは自分でどうにかするよ。別に私、あの約束が守られなくても仕方ないって思ってるから」
「なんで…?約束守られなかったら、それこそ新井何してるのって感じじゃない?」
「…いいの。それが優祐の答えだと思って、今度こそ新しい道に進むから」
「さおり……」
まだ納得のいかなさそうな表情の華恵だったけど、いつの間にやら市川くんは携帯でタクシーを呼んでいて、華恵の手を掴んだ。
「はなちゃん、間に合わなくなるよ。…井上さん、それじゃあまたね」
「あっ、うん。二人とも気を付けてね」
「いやだよ、さおり。ねー、ちゃんと結果メールでいいから知らせてよ?」
市川くんに引っ張られる形で、華恵の姿が遠くなっていく。
私はただただ、二人の姿に手を振り続けた。