改訂版・時間よ、止まれ。
私と優祐はゆっくりと、人がまばらになったグラウンドを歩き始めた。
優祐…、見た目はずいぶん変わってしまったように思う。
髪を染めてるのもあるけど…、よく見ると耳にピアス開けてるみたい。
『今時の男子』って感じになっちゃってる。
それに比べると私なんて、今日は成人式で着飾ってるけど、見た目はこれと言って何も変わってないし、ずっと地元にいたおかげで自分の世界も広がってない気がする。
…こんな私、今の優祐にはどう映るんだろう?
「こっから階段だけど、大丈夫か?」
「あ、うん。ゆっくりになるけど上がれるよ」
中学校の校舎の非常階段の手前になって、優祐が私の方に振り向いてくれた。
「じゃあ、俺もゆっくり上がるから。無理するなよ」
「ありがと…」
こんな、ちょっとした気遣いも変わってないな…。
私、優祐のこんなところも好きなんだよね。
「あ〜、長かった。この非常階段、こんな長かったっけ?」
「そうだね。振袖重いから、ちょっと手こずっちゃった」
「そういやあの時は浴衣だったよな?ごめんな、和装の時ばっかりこんなことさせて」
「ううん。楽しいからいいよ」