改訂版・時間よ、止まれ。
あからさまに面倒な顔をした新井は、私からサッカーボールを受け取った後、すぐにきびすを返して元の場所に走り出そうとしていた。
けど。
「ちょっと待ちなさいよ、新井!!」
「なんだよ、サッカーいいところなんだけど。場所替えとか、マジあり得ないし」
「アンタが私を班長にしたんでしょ?班長の言うこと聞きなさいよ」
「だりぃ〜」
「ちょ…っ、新井!?」
何なの!?
どうして私ばっかりこんな目に遭わなくちゃいけないの?
新井が私を班長にしたようなものじゃない!?
なのに、何でさっきから反抗するような態度ばっかり…!!
新井は、私を困るのを楽しんでいるようにしか見えないよ…。
「サイテー!!何で新井なんかと同じ班になったんだろっ!!」
私は周りに聞こえるほどの大声でそう言い捨てた。
「え?井上…?」
「もー知らない!!」
「おい?」
「………」
まだ新井が何か言っていたような気がするけど、私はそんな新井を無視してラインを引き始めた。
当然、新井達男子がサッカーをしているエリアにも平気で入っていってラインを引き続けた。