改訂版・時間よ、止まれ。
恋の第一歩
いよいよ缶蹴りが行われる時間になって、クラス全員が担任の先生の元へと集まった。
「今から、3班の人達が考えてくれたレクリエーションをします。その遊びは缶蹴りです!みなさんルールは分かりますよね?普通の缶蹴りと違う所は、鬼が二人いるところです」
先生が大声で説明を始め、クラスの人達は静かにそれを聞いていた。
「あと、ここだと逃げる場所がかなり広いので、逃げられるエリアを設定しました。さっき班長達が線を引いてくれたエリアです」
「えっ!?」
「あら、新井くん。質問ですか?」
先生の言葉に反応して大きな声を出してしまったらしい新井に、クラスみんなが注目し始めた。
「あ、いや…、エリア広くて鬼二人なら、缶も2つなんですか?」
「いえ、缶は1つでやります。エリアの中央部に円を描いているので、そこに置くようにします」
「はい、分かりました」
まだ私は新井を許してなかった。
考えれば考えるほど、やっぱり信じられない。
私を班長にしたのは新井なのに、何で新井は私の言うこと全然聞かないの!?
言うこと聞かないなら、こっちから無視して気付いてもらうしかないよ。
そういえば新井、心なしか元気がさっきよりなくなってる気がする。
…ああ、サッカー強制的に終了になったからか。