改訂版・時間よ、止まれ。
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「ちょっとぉー、さおり、助けに行くって約束したじゃん。なのに、ケガから帰ってきても全然来なかったし」
「ゴメン。でも、新井が缶蹴ってたじゃん」
「それは良かったけど、これじゃあ約束した意味ないよー」
しばらくして私と新井は缶蹴りに復帰した。
でも、新井から『無理するな』と言われて、私は缶からはかなり離れた所に隠れていた。
代わりに新井が缶を蹴って、それまで捕らわれていた多くの人達を助け出した。
そして時間が来るまで私達は缶蹴りを楽しんだ。
「そういえばさおり、行く時に持っていた救急箱は?」
「ああ、新井が持ってくれたよ」
「え?持たせたんじゃなく???」
「ちょっと華恵、これじゃあ私が悪者みたいじゃない」
「いやいや、ごめん。珍しいね」
下山するため、私と華恵は班長として色々片付けにいそしんでいたんだけど、華恵は私の妙にさっぱりした顔を見て、少し驚いていた。