改訂版・時間よ、止まれ。
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「え?うちのクラス新井がいるの?やったぁ!ラッキー♪」
「はぁ!?どこが?」
「新井、カッコいいじゃん♪」
その日の昼休み。
ぎこちない雰囲気はあるけど、女子の友達グループは固まり始めたみたいだった。
私は中1の時にクラスが一緒だった友達で、再び同じクラスになることができた佐藤華恵(さとう・はなえ)と向かい合わせで机をくっつけて、給食を食べていた。
「華恵は新井のコト知らないから、そんな呑気に……」
確かに新井は、私と知り合った時にはすでに人気者だった。
男子からも、女子からも。
盛り上げ上手な上に、顔もそこそこカッコイイって、2年の時の友達の間でも評判が良かったっけ。
私は『みんな騙されてる』なんて思いながら、新井ベタ褒めの会話に顔だけ貸してた。
しかし、華恵も騙されてる女子の内の一人だったなんて。
…軽くショックかも。
まさか、華恵も2年の時の友達と同じ感じで、私の被害なんて分かってもらえない…?
そんなことを想像したら、自然とため息がこぼれた。
「別に呑気に言ってるわけじゃないよ」
「え?」
華恵の声に、いつの間にか下を向いていた自分の顔を上げた。
目の前の華恵は、何故かニヤニヤ笑いながら私を見ている。
「さおりだって知らないみたいじゃん。新井のサッカー部での活躍を♪」
「…へ?」
新井…、サッカー部なんて入ってたんだ?
普通に知らなかったし。