改訂版・時間よ、止まれ。





…実は、ちょっと斉藤さんをうらやましいと思いながら見てた。






さっき新井と言い合った時、少し嬉しかった自分に気付いてしまったから…なのかな?








斉藤さんが現れてから、私と新井の会話は以前のように多くなくなった。





1日1回口ゲンカできればいい方。





今日久々にあんなに絡んだから、余計にうらやましさが浮き彫りになってしまった気がする。








…私、新井とどうしたいんだろう……?








少なくとも、このままじゃいけないと思っている。





嫌だったはずなのに、強引にでもいいからケンカをしかけてほしいと思ってる自分もいる。






だから、斉藤さんがうらやましいんだ……。




強引にでもいいから、新井との距離を縮められる斉藤さんが……。











「ちょっと、さおり!また手が止まってるよ。早く帰ろうよ〜」



「あ、ごめん、華恵。これカバンに突っ込んだらすぐだから!」






私は華恵に促され、急いで帰る用意をして教室を出た。













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