改訂版・時間よ、止まれ。

―――――
――










ホイッスルが鳴って、試合が始まった。





それと同時に、新井は転がったボールを追いかけ始めた。






主将をやっている新井は、ボールの動きや相手チームの動きも見ながら、時折大声でチームメイトに指示を出していた。







ボールを持っていない時でも、無駄を感じない動き。





新井が動くと同時に、斉藤さんだけでなく、観客席のあちらこちらからも、新井を応援する黄色い声が聞こえてきた。








やっぱり、私の声なんかかき消されちゃうよね……?





そう思ってしまった私は、ただ静かに新井を見守った。









「市川くん!ファイト〜〜!!」






ただ…



華恵の声援は、隣で聞いてたら苦笑いするほど大きかったけど。
















気が付けば前半が終わって、0対0のドロー。





ここから見ていた感じ、うちが優勢だと思うのに、1点が取れない展開だった。





「さおりの応援が足りないんじゃないの〜?もっとちゃんと応援しなよ」



「そんなの関係ないでしょ!どうせかき消されちゃうよ」



「叫んでみないと分かんないじゃない?」






華恵と色々言い合ってたら、後半がスタートしていた。





再び華恵は市川くんに大きな声援を送り始めた。





< 72 / 236 >

この作品をシェア

pagetop