改訂版・時間よ、止まれ。
だけど…、やっぱり前半と同じムード。
このままだと、1回戦で敗退かもしれない。
やはり得点の動きがないまま、後半が終わった。
そして試合はロスタイム。
与えられたロスタイムは、たったの3分。
このまま、得点も入らず終わっちゃうの…!?
せっかく応援に来たのに…、新井、勝ってよ……!
そう強く思った瞬間、ようやくうちのチームに得点のチャンスが回ってきた。
1組の市川くんが、相手のゴール前までボールを進める。
もちろん隣の華恵の声援は、更にヒートアップ。
そして、そのボールが市川くんから新井に渡った。
新井は巧みなプレイで、敵チームのディフェンスを次々とかわしていく。
今度こそ…、このチャンスをものにしてほしい。
点数、入って…!!
「………っ、新井ぃーーー!!」
ずっと黙って試合の様子を眺めていたけれど…
気付くと私は、自分でも驚く大声で新井に向かって叫んでいた。
その時…
新井は勢いのあるキックで、ボールを相手ゴールにぶち込んだ。
次の瞬間、得点が入ったことを示す審判のホイッスルが鳴った。
「「やったぁ!1点!!」」
思わず私は、華恵と手を取り喜んだ。
残りのロスタイムでこの1点を守ったうちのチームは、2回戦進出が決定した。