改訂版・時間よ、止まれ。
「いい試合だったよ。また学校でね」
なんでこんな言葉しか、口から出てきてくれないんだろう…?
言い終わった瞬間から後悔がおそってきて、私はとにかく早くこの場から離れたくなり、急いで新井の横を通り過ぎようとした。
その時だった。
「なあ、井上!俺の彼女になって!!」
確かに新井は、私に向かってそう言った。
けど、その時は言われた意味が分からなくて、私はただ新井に振り向いただけだった。
やけに真剣な新井の顔。
頭の中でリピートする、さっきのセリフ。
『俺の彼女になって』
新井、本気で言ってるの!?
また悪い冗談とか、罰ゲームとかじゃなく???
新井は私と目を合わせたまま、ずっとずっと真剣な顔で私からの答えを待っているみたいだった。
あ…、本気だ。
さっきサッカーしてた時と同じくらい真剣な顔をした新井を自分の瞳に映しながら、私は新井が今、一世一代の告白をしたんだと、ようやく確信した。
――
―――――