改訂版・時間よ、止まれ。
「ちょっとさおり!!何固まってんのよ。新井待ってんじゃん。さっさと答えなよ」
私の横に立っていた華恵から、背中をツンツンされながら小声でそう言われ、私はやっと正気に戻った。
「私……、で、いいの…?」
「井上がいいんだけど!!」
「うん。嬉しい……」
「…それって、OKの意味で受け取っていいの?」
「うん。…よろしくお願いします」
すごく恥ずかしかった。
だけど、あんなハッキリ『井上がいい』なんて言われると、私もちゃんと本気で返事をしなきゃって思った。
…やっと少しだけ、素直になれたような気がした。
素直に答えたら、胸の奥がスーって楽になる感じがして、何でもっと早くから自分の気持ちに素直になれなかったんだろうって思ってしまった。