先生あのね・・・
そっと手紙を開くと
そこには見慣れた文字が詰まっていた。
修二へ
元気か?
俺はこっちの生活にも
少しずつではあるが慣れてきた。
修二はどうだ?
萌は元気にしているか?
事情は話した通りだが
おそらく学校では周囲の目も厳しく風当たりは冷たいだろう。
こんな時に
側にいてやることも支えてやることも何もしてやれない自分が情けない。
どうか温かい目で見守ってやってくれ。
それと萌の事だから
“学校を辞める”と言い出すかもしれないが
その時は辞めないように言いくるめて欲しい。
萌が卒業をしたら必ず迎えに行く。
その時まで萌の事をよろしく頼む。
どうか力になってやってくれ。
健太郎より
追伸 新しい住所を同封しておく
手紙を読んでいた瞳からは
大粒の涙がポタポタとこぼれ落ちた。
その涙が止まるまでには
時間が必要だった。