先生あのね・・・
「ねぇ、何でキスしかしないの?
・・・私ならいいよ」
リモコンで次々にチャンネルを変えていく先生の横顔を見つめる。
「ダーメ。
高校生の間はしないよ」
軽く流すように答える先生。
「でも他の子は普通に彼氏としているよ?」
私がそう続けると
「それは高校生同士の話だろ?」
先生はTVを見ながらそっけなく答えた。
「そういう事じゃなくて・・・
好きならいいと思うよ?」
「それだけの問題じゃない」
そう言ってソファを立ち、
キッチンに歩いて行く先生の背中に
「それは先生と生徒だから?
私のこと好きじゃないの?」
私は尋ねた。
「大切にしたいと思っている」
冷蔵庫から何かを取り出しながらの背中越しの言葉。
「私たち付き合っているんだよね?」
戻ってきた先生は少し乱暴にソファに腰を落とし
「大人はそんな事、言葉にしないよ。
今こうして二人だけでいる。
それでいいじゃないか」
不機嫌に言った。
でも
そう言った先生の目は辛そうで
私はそれ以上は何も言えなくなった。