先生あのね・・・
部活が終わり
先生のまだ帰ってきていない部屋に、預かっている鍵を使って入る。
先生のいない部屋に入るのは初めてではないけれど、
何度入っても先生の匂いがする静かなこの部屋は大好きだった。
先生が帰ってくるまで
私はお気に入りのCDを聞き、
来る途中に買ってきた雑誌を読んでいた。
雑誌に少し飽きていたところに先生は帰ってきて
「ごめん。
会議が少し長引いてしまって…」
とネクタイを外しながら
申し訳なさそうに言った。
「いいよ。雑誌を読んでいたし」
そう答えると
先生は私の読んでいた雑誌を見降ろして
「また、新しいのを買ったのか?
持って帰れよ。
俺の家が萌の物ばかりになるじゃないか」
呆れるように言う先生。
「いいじゃない。
私は自分の部屋よりこの部屋の方が落ち着けるんだから」
私は屈託なく言い返した。
そんな私に先生はそれ以上は何も言わなかった。