先生あのね・・・
その日の夕方
私は先生の車の中にいた。
「東田先生に今日のこと聞いた」
切り出したのは先生。
「そう・・・
でも何で東田先生が先生に?」
私は小さく聞き返した。
「たぶん、俺達の関係に気付いていると思う。
東田先生はそういう感は鋭いからな」
先生は苦笑いするように答え、
その後は少しの沈黙が続いた。
「で、どうしたんだ?」
先生の質問に私は首を横に振った。
「俺には言えないことなのか?」
諭すように聞く先生の言葉に何も答えず、
俯いて黙ったままでいた。
会話のないまま車は走りつづけ
しばらくたったところで
車は人気のない公園の駐車場に止まって、
先生は私を見つめた。
「萌?」
私は相変わらず俯いたまま。
「言わなければ何もわからないぞ」
先生は静かに尋ねた。
「聞いたの・・・」
「何を?」
先生は俯いたままの私を覗き込むように見た。
「・・・・・・・・・」
先生は私を見つめたまま
次の言葉を待っていた。
「この前、先生が女の人と歩いていたって・・」