先生あのね・・・


先生はハッと目を見開き、
言葉を探しているようだった。



そのまま静かな時間だけが流れる。





「誤解するようなことは何もないよ。
その人から相談を受けていて、たぶんその帰りだと思う…」

先生は少しの沈黙を破って静かに話し始めた。



「どんな関係なの?」


先生を見つめる私。



先生は考えるように

言葉を選びながら

ゆっくりと話した。





「大学時代に付き合っていたことがある」

「どのくらい?」

「大学二年の時から三年間くらい。
でも、もう終わった話だ」



表情なく淡々と話す先生に更に聞いた。


「それがどうして今さら?」

「さっきも言ったけど
相談に乗っていただけだ」

「本当にそれだけ?」



私は不安を隠しきれなくなった。



「本当にそれだけだ」


先生が真剣な目で力強く答えるから


もうそれ以上は何も聞けなくなった。
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