先生あのね・・・
「この子なの?」
その人は私を一度見降ろしてから
先生に向って聞いた。
「そうだ」
はっきりと答える先生。
「まだ高校生でしょ?」
その人は鼻で笑うように
再び私を見下ろした。
「あなた健太郎の生徒?」
私に向って話すその人に
私は何も言えないままでただ見上げた。
・・・・今、この人
先生のこと名前で呼んでいた・・
「健太郎が今話していた大切な人って健太郎の生徒?
まだ子どもじゃない・・・」
その人はそう呆れて笑い
話を続けた。
「この子だって卒業していろいろな人に出会えば健太郎から離れていくかもしれないのよ?」
「君のように?」
「私は後悔している。
だから健太郎に会いにきた」
その人が必死なのが何となく私にも伝わってきた。
「俺はそのつもりはない。
そう言ったはずだ」
先生はきっぱりと答えた。